先月の話。「ミュージカル封神演義-開戦の前奏曲-」が初日の1公演を最後に、以降の東京・大阪公演がすべて中止になってしまった。わたしは本当にたまたま、その1公演を幸運にも観劇できたのだけど、まさかこのような形で幕を閉じようとは思っていなくて……キャストやスタッフの努力を思うと、、胸が痛む。としか言えないのがなんともつらい。
コロナ騒ぎ以降、チケットを持っていた作品が早い段階で「全公演中止」になることは何度かあったんだけど、秋口ごろからは探り探りながら再びエンタメが動き出してきていたし、どこかで「今回もきっと大丈夫だろう」と思ってたのかもしれない。
そもそも稽古期間から色々あった。
まず初日の6日前、メインキャスト1名から陽性反応が出た。そこで急遽、代役登板。
「ミュージカル封神演義-開戦の前奏曲-」
— 「ミュージカル封神演義-開戦の前奏曲-」 (@musical_houshin) 2020年10月17日
出演者1名の新型コロナウイルス感染により4公演の中止、そして追加2公演について重要なお知らせhttps://t.co/rkNH33lr4L pic.twitter.com/WUoSOgZ50R
【阿部大地】
— えりオフィス(公式) (@erioffice) 2020年10月17日
『ミュージカル 封神演義‐開戦の前奏曲-』にて
この度、阿部大地が哪吒役を務めさせていただく事になりました
[日程・会場]
10/25(日)~11/2(月)@ステラボール
11/6(金)~11/8(日)COOL JAPAN PARK OSAKA
公式サイトhttps://t.co/8DeJl2rVqe
公式Twitter@musical_houshin
わたしが元々持っていたチケットは、この中止公演に該当して払い戻しになった。正直落ち込んだけど、うん、と気持ちを切り替えてチケットを取り直す。そして10/23(日)夜公演、無事初日が開けた……矢先での、下記の展開。
「ミュージカル封神演義-開戦の前奏曲-」
— 「ミュージカル封神演義-開戦の前奏曲-」 (@musical_houshin) 2020年10月26日
出演者1名の発熱と喉の痛みの症状確認による、27〜28日の4公演の中止に関する重要なお知らせhttps://t.co/rkNH33lr4L pic.twitter.com/6SGtNwURFz
「ミュージカル封神演義-開戦の前奏曲-」
— 「ミュージカル封神演義-開戦の前奏曲-」 (@musical_houshin) 2020年10月28日
全公演中止に関する重要なお知らせhttps://t.co/rkNH33D2tl pic.twitter.com/0OimWJXphm
あっという間に全公演中止に至る。代役を立ててまで、準備を進めてきたのに……。初日公演ではカテコでキャストに拍手を送りながら「この作り込まれたステージが無になるかもしれなかったんだな。初日が開けて本当によかった!」なんてうるっときてたのにな。そのときは、この後の公演が続くことを思ってたからさ……。
なんと奇跡的に映像は収録できていたみたいで、配信もしていたし円盤販売も企画進行中とのこと。ただやっぱり充分な対策をしても起きることは起きてしまうし、演劇というナマモノのエンタメがリスキーな綱渡り状態を継続中だということは改めて感じた。
言い方が難しいんだけど、正直制作によって検査の頻度や対策基準も違うと思うし、PCRだってタダじゃないし、注意深くやればやるほど損をするような状況は……とてもしんどいね。もちろん、対策はすべきことだという前提です。演劇を囲む状況は依然として厳しいままだなあ。観客として不安なのはそうだけど、なにより明日どうなるかわからない状況で稽古、パフォーマンスをしなければならない俳優たちに相当な精神的負荷がかかり続けている現状はただただ心配です。ずーーっとゆらゆら不安定な日々の中でも、いつも仕上がったものを表に見せてくれるプロの仕事に、ありがとうと言いたい。封ミュチームもありがとうやで。
……と、もやもやした話もしたけど、以下は普通に封ミュ2の感想!
「✨ミュージカル趙公明✨」と題しても過言じゃないのでは?と思うほどお兄さまon the stage⭐︎だったよ。平野良さんの趙公明が加わって、妲己・聞仲との強キャラ3人衆が、歌唱力でも強キャストなのが前回に続き良い。●大平峻也くん、封ミュ以外だと刀ミュの初期しか観たことがないので、記憶よりとても声量が豊か&歌が堂々と安定していて驚いたしよかった。●橋本祥平くんの太公望も初演に比べて佇まいや歌唱に自信が感じられたよ。歌の仕事が増えているからだろうか。以前に比べ、気持ちが一歩突き抜けたような雰囲気。●安里勇哉くん、安里楊戩(イケボ)はさらさらヘアが揺れるとシャラ……と効果音が出てそうなハンサムオーラ。初演より活躍シーンが多くてうれしい。笑●なんといっても今回は個人的に四不象回!といいたい。笑 操演の吉原秀幸さん、人形の動きはもちろん、声色の使い分けが器用かつキャラにハマっていてすごい。声優経験とかあるんだろうか。
……とざっと書いてしまったけど、この舞台はキャストがけっこうハマってると思うんだよなあ。脚本、演出については今回ボリュームがあることもあり、特に1幕は少しバタバタしていた印象。キャラ数も多いし端折らずにやると難しいなーとも思うけどそのあたりが交通整備されるとより良かったかな。
メタネタのセンスや遊びのある演出、良いところは初演に引き続き良い。漫画の世界観を3次元で表現するのって当然制約があるけど、そんな窮屈ささえもアイデアで楽しませる、気概のある演出が好きなんだよね。(今回でいうと、※少しネタバレ→→伸びる腕を表すのにアンサンブル複数人の腕をつなげてニョイーンと一本につなげて見せたり、巨大化するキャラクターとの戦闘を「影絵」で大きく見せたり)発想がななめうえすぎてはじめ笑っちゃうんだけど、同時に感嘆もするというか。演劇おもれー!!と今回も思わせてもらったし、泣かせるシーンもちゃんと押さえてたと思う。
封ミュ初演きっかけで原作を読んだ身として、再演はもちろん仙界大戦をぜひ舞台で観たいよー。あと封神演義の根強い原作ファンのみなさまが、舞台を楽しみにしてくれているのをツイッターで見てうれしかった。ので、そんなオタクたちとこのプロジェクトの完走を見守りたいな。引き続き!