記憶が保てるように

主に舞台や本、映画などエンタメと日常の話

最近読んだ本/2022.1-2

ワールドトリガー(1)〜(24)

今年一発目の「こんな好きになるはずじゃなかったのに…!」漫画。今年の抱負は「まだ触れていなかった人気コンテンツを回収する」ことなので、気になっていたワートリに軽はずみに手を付けたら想像をはるかに超える地平が広がっていた。このひと月くらいほんと毎日がワールドトリガー。今はアニメ2期マラソンをしている(1期が70話以上あってびびった)。このままでは語尾がワールドトリガーになるかもしれない。

ワートリのおもしろさなんて、もうとっくに熱いファンの方々に語り尽くされているだろうけど、あらかじめ設けられた制約の中で表現する、チーム戦法のグラデーションの豊かさには舌を巻いた。戦闘タイプやアイテムの種類が限られていているからこそ、使い手の個性や戦法がより際立っているように思える(描き手としても、ベースがある決まっていると応用を考えやすそう)。

また、ランク戦システムにはじまる「ゲームのおもしろさを漫画に輸入する」手法の斬新さにはひざを打った(戦闘タイプや武器の制約も、あるいはここに該当するのかもしれない)。ある意味では本筋の進行を保留にしたまま、それでもストーリーの新鮮さを維持できるなんて画期的すぎる。

そして何より好みにグッときたのが「組織でスキルを発揮するために必要なマインドやアクション」が描かれていること。ボーダー隊員たちの人材育成や戦略人事の目線、まじで社会人の参考になるし、少年漫画だけどサラリーマンもの、お仕事ものだと思って読んでいる。少年漫画で集団の人間関係・チークワークというとおおよそ部活を舞台に描かれることが多いけれど、ボーダー隊員のそれは完全にビジネスの肌ざわりである。キャラクターの行動原理も、個人スキルの向上→→チームパフォーマンスの向上→→組織の目的達成や利益獲得、という共通認識が見えて、なんというかすごくザ★ビジネスフロー。笑

個人スキルの向上ひとつ取っても描き方として大人なのは、根性論や精神論で成長を描かないところ。修が体現しているように、弱点は弱点として認めたまま別のスキルでカバーする、または他者のアシストを利用するという選択肢は本当に大事だ(なぜなら現実でも人はそう簡単に変われないから……)。個人の適性を、他のキャラが把握して助言をくれるというフォローも行き届いていて安心する。

ちなみに自分の推しは決められなくてつらいけど、諏訪洸太郎、東春秋、生駒隊は好きにならないほうが無理。水上と隠岐は3次元にいても絶対強めなオタクつくでしょ。幹部組もみんなすき。大規模侵攻の忍田本部長「貴様のようなやつを倒すため我々は牙を研いできた」、城戸司令「やんちゃ小僧が……」はよすぎてFuuuuした。

 

北北西に曇と往け(5)、群青学舎(1)

入江亜季作品セット。北北西5巻は慧やがお兄ちゃんしていて最高だ。紙で読むことに幸福を感じている漫画のひとつ。大切につくられた高級なケーキを食べているみたいな、旅先で自然の絶景に立ち会ったときみたいな、そんな感覚が味わえるんだよなぁ。慧やアイスランドの風景を見ていると、わたしはなぜこの狭い東京でOLなんかやって……?とハッとしてしまうのが難点。笑

 

ミューズの真髄(1)

文野紋さんの絵をツイッターで見かけて気になり購入。わたしは写実的な背景を描く人が好きなんだと思う。人物などの作画はまだ成熟しきっていないように思うのだけど、絵から伝わってくる感情の荒々しさ(禍々しさにも近い)に目を引かれる。

 

おとなになっても(6)、ブルーム・ブラザーズ(2)

こちらはアラサー百合と兄弟BLの志村貴子新刊セット。志村作品、永遠に読んでいられるわ……。表面上きれいな社会人が内心ぐちゃぐちゃになっているのを見るのが大好きである。おとなになってもはどんなラストを迎えるんだろう。二人とも幸せになってくれ。綾乃の夫も幸せになってくれ。。

 

東京23区 全図

ただの東京の地図。最近はこの地図を読みながらハイボールを飲んでる。山手線周囲くらいは地図を見なくても歩けるようになりたいなぁという謎の野望を持っています。

 

星のように離れて雨のように散った

島本理生×銀河鉄道の夜って、それはもうウニいくら丼なのよ(私にとって)。島本理生は恋愛小説の名手であり、「過去に何かしらトラウマを抱えた人の救済一貫してやっている作家だと思う。だからだろうか基本的に主人公に対して優しい書き手だと思うのだけど、この本では、主人公が自身自意識恥部他者から指摘され...というやりとりがあったりと、これまでとは違うちくりとした鋭さが垣間見えた大学生(主人公は院生だが)と自意識というそれ自体は定番の組み合わせなんだけ作家・吉沢さんは、父親が失踪している主人公にとってまさしく父性の象徴で、心のよすがになるのだけど、彼には彼の負い目があるというところまで描かれたのがフェアでよかった

島本理生×銀河鉄道の夜って、それはもうウニいくら丼なのよ(私にとって)。島本理生は恋愛小説の名手であり、「過去に何かしらトラウマを抱えた人の救済一貫してやっている作家だと思う。だからだろうか基本的に主人公に対して優しい書き手だと思うのだけど、この本では、主人公が自身自意識恥部他者から指摘され...というやりとりがあったりと、これまでとは違うちくりとした鋭さが垣間見えた大学生(主人公は院生だが)と自意識というそれ自体は定番の組み合わせなんだけ作家・吉沢さんは、父親が失踪している主人公にとってまさしく父性の象徴で、心のよすがになるのだけど、彼には彼の負い目があるというところまで描かれたのがフェアでよかった

島本理生×銀河の夜って、それはもうウニいくら丼なのよ(私にとって)。島本理生は恋愛小説の名手であり、「過去に何かしらトラウマを抱えた人の救済一貫してやっている作家だと思う。だからだろうか基本的に主人公に対して優しい書き手だと思うのだけど、この本では、主人公が自身自意識恥部他者から指摘され...というやりとりがあったりと、これまでとは違うちくりとした鋭さが垣間見えた大学生(主人公は院生だが)と自意識というそれ自体は定番の組み合わせなんだけ作家・吉沢さんは父親が失踪している主人公にとってまさしく父性の象徴で、心のよすがになるのだけど、彼には彼の負い目があるというところまで描かれたのがフェアでよかった。

島本理生×銀河鉄道の夜って、それはもうウニいくら丼なのよ(私にとって)。島本理生は恋愛小説の名手であり、「過去に何かしらトラウマを抱えた人の救済」を一貫してやっている作家だと思う。だからだろうか基本的に主人公に対して優しい書き手だと思うんだけど、この本では主人公が自意識や恥部を他者から指摘されるやりとりがあったりと、これまでとは違うちくっとした鋭さが垣間見えた。心のよすがとなる作家・吉沢さんは、父性の象徴であり一見都合のよい理想的な年上男性ポジにいるんだけど、彼には彼で負い目があるよというところまで描かれたのがフェアでよかった。

 

心はどこへ消えた?

臨床心理士の著者によるエッセイ。脳は心ではないただの物質である、喜びも悲しみもニューロンの発火にすぎない……という捉え方は、心に振りまわされる日々を楽にしてくれる。現代において心が軽んじられているという著者の指摘には同意。あとこれは編集の仕方に関してだけど、(そんなわけないとは思いつつ)患者さんに関する話が創作だというのはあとがきじゃなく序文にあるともっと安心して読めたな。

 

誰も語らなかったジブリを語ろう

忖度ゼロで語られる押井守ジブリ批評、ユニークかつ的確で読み応えがある。押井・宮崎・高畑・鈴木Pというクリエイター同士が作品で殴り合って対話する感じには「はいはい仲良し仲良し」としか思えず、ひたすら微笑ましいので関係性好きなオタクにもプッシュしたい。笑 監督のフェチズムが見えてこないような映画はダメだという押井さんの一貫した主張が、各作品評ときれいに紐づいていてロジカルな人だと感じた。押井視点の宮崎駿評で、「産業の産物である戦闘機」と「産業によって失われる自然や植物」という相反するフェチの矛盾点とその葛藤について触れられていて、実にオタク好みな評をするな……と頷いてしまった。

 

花束みたいな恋をした

映像の脚本を読むと、場面の切り替わりの多さに新鮮に驚く。テキストで読むとあらためて、家にこもりきってやりまくるシーン→絹の食パンがバターを塗った方から落ちるシーン→熱海の海岸シーン(恋愛生存率のブログに関する語り)と続く流れがこの映画を象徴しているなと。「芽生えた恋愛が死にゆくまで」を描くと宣言している。

 

大阪

大阪出身の柴崎さんと大阪在住の岸さんによる共著エッセイ。岸さんの文体が驚くほど好みで社会学者であることを忘れる。街の話って、自ずとその人の人生の足あとが見えるから好きだ。わたしはフィクションが好きだけれど、同時にノンフィクションにしか伝えられないことってあるよなあぁ……とこの本を読んで思う。たとえば岸さんのエッセイで語られていた、名前もわからない戦争浮浪児がその特徴とともに箇条書きにされた戦後の新聞のこと、またそんな戦後に子どもが捨てられていたストリートで、今は流行りのタピオカやスイーツが売られているという一節など。たった50年で社会は変わるし、我々が当然かのように享受している日常だってきっと刻々と変わっていくんだろう。

 

 

 

冬場は本に助けられている。心が暗いときは本に頭を突っ込んで現実を耐え凌ぐ。毎年1、2月にメンタルが深く沈んで無気力になるのはなぜか。今年も例に漏れず、うじうじうじうじしているうちにブログも止まってしまった。ただ好きでやっているだけなのに続けられなくなると凹むという不要なきまじめさを発揮。

「話す」も「書く」も気乗りしなくて、言語以外の表現を模索したいという思いで、最近突然絵を描きはじめました。なんのツールも持っていないから、インクペンでレポート用紙に描いてる。もちろん下手だけど楽しい。いざ絵を描いてみると、頭がまっしろでもいい、もう頭の中でしゃべらなくていい、という事実にただとても楽になった。脳の状態でいうと運動に近い(文章を書いてると、頭の中が字字字字※懐かしの脳内メーカーって感じがするのでうるさい)わたしは順調に生きたら死ぬまでだいぶ時間があるから、今より絵がうまくなるな……?と前向きな気分も芽生えた。そうこうしているうちに少しメンタルが浮上し、書きたいな〜と思っての本ブログでした。お絵描き、おすすめです(と、文章で語る)。

 

qooml.hatenablog.com

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