記憶が保てるように

主に舞台や本、映画などエンタメと日常の話

その感想は誰のもの

たとえば舞台を観に行った帰り、ツイッターで同公演に入っていた人の感想を検索する。おもしろい感想が目に入る。すると、気づいたらその言葉が自分の脳で自分のものとしてすり替わってしまうことがある。人の感想を読むのが好きだからこそ、それはとても怖く、もったいないことだなーとなんとなく意識するようになった。エンタメに関すること以外でも、ネットで目に入った情報に対してまずは自分の価値観でどう感じたか、を先に考えてみるようにしてみている。自分の言葉を持ちたい。人の考えにすり替わると、自分の中にあったはずのものがなくなってしまうようにも思う。少なくとも作品の個人感想に間違いはない。過去、自分がおもしろいと感じた舞台を「それ虚無舞台のnoteに入っていたよね」と言われたことがあるけど、なんのこっちゃなかった。たとえ本当にお粗末な脚本や、演出や、演技だったとしても、そのタイミングで観たからこそ響いたならそれでいい。

このブログを書くときもなんとなく二つ考えていることがあって、一つは観たことをすぐ忘れてしまうから書いておくこと。(具体的なことを覚えていられるのは長くても1週間だと思ってる)もう一つは自分の考えを持ちたいから。初期のエントリを読み返すと今よりさらに拙い文で恥ずかしい。最近書いてるものだって後に見返したら恥ずかしいだろうけど、お金を取っているわけでもなく所詮自分のためのものだから別にいい。正直に書く。考えて書くうちに自分が思っていたことに改めて気づいたり、反芻することで記憶が馴染んでいくようにも感じる。砂の城を作るようなイメージ。スコップでたたいて感想をかためる。

  

もうすぐ8月が終わるみたい。最近は短歌の歌集を読んでいます。長編小説を読む心の余裕がないときや忙しいとき、移動が短いときでも歌集は読みやすいからいい。小説は読んでいる最中に時間が空くと記憶がぶつ切りになってしまいがちだけど、歌集はいつでも開いたところから始められるところが好き。俵万智さんの「オレがマリオ」は、小さい子をもつ親にもぜひ読んでほしいな〜 

オレがマリオ (文春文庫)

オレがマリオ (文春文庫)

  • 作者:万智, 俵
  • 発売日: 2017/08/04
  • メディア: 文庫
 

 

 この本のあとがきで、著者の俵万智さんに電子書籍ってなに?と問うた息子が「でんししょせきか〜オレはコロコロコミックをめくったときに顔に当たる風が好きだな」と言われたという話が、なんともきゅんときた。着眼点がおしゃれだなあ。