記憶が保てるように

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ミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」で生命力のシャワーを浴びてきた

 

気づけば新年度。

前年度最後の舞台観劇は、3/9〜3/31まで日生劇場で上演されていたミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」で締めました。(地方公演はこれから!)

 

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いや〜〜むちゃくちゃ楽しかったな〜!!!!!!

 

こんなに笑って泣けて大興奮できるなんて…。

色々な舞台がある中でどの作品が心に響くかって人によると思うんだけど、私はこの作品を観たとき、「見つけた!!」って思っちゃいました。

この感動を覚えておきたい〜〜という思いで、興奮のままにブログを綴ってます。笑

 

 まずは簡単なあらすじを。 

 

物語の舞台は南フランス・サントロペのゲイクラブ【ラ・カージュ・オ・フォール】。

主人公はクラブのオーナーであるジョルジュ(鹿賀丈史)と、クラブの看板スター、ザザことアルバン(市村正親)の熟年夫婦。

ふたりの間には、ジョルジュが昔の恋人との一夜の過ちで生まれた息子、ジャン・ミッシェル(木村達成)がいて、アルバンは彼を実の息子のように慈しみ育ててきました。

そんなある日、ジャン・ミッシェルはジョルジュに突然こう宣言します。

「パパ、僕結婚するよ!」

問題は、ジャン・ミッシェルの恋人の父親がゲイ反対派のダンドン議員だということ。

本人から一報を聞いたジョルジュはびっくり!…というところからお話は動き始めます。

 

 

 youtu.be

 

コメディというにはあまりに泣けて、いっぱい笑えて元気になれる「ラ・カージュ・オ・フォール」。何が好きだったのか考えてみました。

 

あちこち愛がいっぱい。チャーミングなキャラクターたち

ラカージュに出てくる人はみんなお茶目でかわいくて、それぞれの自分が思う愛を持っています。それは恋愛だったり家族愛だったりするんだけど、とにかく見ていてハッピーになれる人たちばかり。

リア充爆発しろという言葉がありますが(?)むしろラカージュには愛しきリア充がいっぱい。笑 このお話を動かすのは 、2組の魅力的なカップルです。

 

ジャン・ミッシェルとアンヌ

 

そもそも私がラカージュを観るきっかけとなったのが、木村達成くんの出演でした。

達成は「ハイキュー‼︎」を観て以来好きな若手俳優さんの一人で、今回本人の念願叶っての本格ミュージカル初参加ということで、俳優ファン的にもドキドキ楽しみなお仕事だったのです。

 そんな木村達成くん演じるジャン・ミッシェルと、愛原実花さん演じる恋人、アンヌのカップルがさいこ~~~~にかわいくて…。

 

youtu.be

 

 

(女優の斎藤亜美ちゃんのTwitterより)

この二人が並んだときのフランス〜な空気よ。美しい・スタイルがいい・そして品がある……。

元宝塚雪組のトップ娘役でもあられた愛原さん、ダンスはもちろん所作のひとつひとつが綺麗で。ソファに掛けたときのフレアスカートの裾の広がりかたまで美。計算されているのでしょう。

 

こんな貴族のような雰囲気のふたりが、隙あらば手を繋いだりハグしたり見つめあったりする世界はまさにファンタジー。ディズニーのプリンス&プリンセスみたい。二人が歩く道の先にはお花がポポポポって咲いていくよ…。

 

ジャン・ミッシェルには、『アンヌと腕を』というアンヌへの愛を歌ったキュートなソロ曲があるんだけど、

「♪僕が誰よりもハンサムで 一番素敵 その気にさせてくれる」

という推しに歌ってほしい曲No.1か??というような歌詞が出てくるのも最高。

 まだちょっぴり中身は幼いけど人を惹きつける24歳プレイボーイ*1ジャン・ミッシェルと、容姿も内面も清楚で可愛らしいアンヌ。作品を通して成長していくふたりを、いつまでも見守っていたくなりました。

 

 ジョルジュとアルバン

こちらは対照的に、なんとも可愛らしいおじさまゲイ夫婦。

 市村正親さんのアルバン(ザザ)は、本当に可愛すぎて驚いた!一幕が終わる頃には客席は完全にアルバンの虜になります。なんなら「ちょっと男子!ザザを悲しませんなし!!」っていう気持ちになってた。

 

アルバンがセルフメイクしながら歌う『マスカラ』という曲が大好きです。

マスカラしてつけまつげしてルージュをひいて、華やかな衣装をまとえば、「アルバン」を捨ててスター「ザザ」になるの!強い味方はマスカラよ!と彼が歌うように、メイクアップして自分に魔法をかけるアルバンは、可憐でかつ凛々しい、最高の美女。

 

鹿賀丈史さん演じるジョルジュは、物腰柔らかくお茶目で色気がある紳士。

鹿賀さんジョルジュの素敵さは細部を語るよりも、“フランス紳士”を体現した佇まいこそが魅力そのものという感じ。ジョルジュみたいな色男に愛を歌われたら、アルバンじゃなくても惚れてしまうよ。

ジョルジュがアルバンに語りかける「君と向き合うと今でも頰が赤くなるんだ」っていう(ニュアンスの)台詞があるんだけど、二人を見ているとこんな風に人生を共にできる人がいるのは素敵だな〜〜って、自然と思えるんだよね。

 

spice.eplus.jp

市村「僕らは(劇団四季在籍時代からの)古い友達で、20代の頃からもう45年くらいの付き合いになりました。その中での10年を夫婦として付き合ってきました(笑)。(突然鹿賀を見つめて)こんなヒゲが生えた私だけど邪険にしないでね! 末永くかわいがってくださいね」とザザらしくキュートに迫っていた。

お二人はなんと45年以上の付き合いだと知り余計に驚く。世の中の若きシンメ、コンビもこのくらいの可能性を秘めているってことだよね。笑

ジョルジュとアルバンがまさに20年来連れ添った夫婦の空気をまとっているのは、演技を超越した二人の関係性があってこそだと思うと、本当にぐっとくる。

 

 

脳内麻薬ドパドパ!楽しすぎて涙が出るド派手なショー

ほんとこれ盛ってないんですよ!!(血走った目)

私がこんなにラ・カージュに心を持っていかれたのは、間違いなくこれが大きな理由の一つ。

 

作品のタイトルにもなっている、ゲイクラブ「ラ・カージュ・オフォール」のショーが、本っっっ当に楽しい。

”カジェル”と呼ばれるゲイクラブの踊り子たちが、ぎんぎらの衣装、バサバサつけまつげ、うるうるリップで歌って踊るショーを見てるときの快感ったらない。

全員男性ですが、皆さん本当にスタイルがよく美しくて、ハイレグ着てても客席から見ると女性に見えるほど。横一列に並んでフレンチカンカンするカジェルちゃんたちの美脚ね。

 

また、ショーの場面を観てると「日生劇場でミュージカルを観ている」という【現実】と、「ゲイクラブ、ラカージュのショーを観ている」という【物語】との境が曖昧になるのがすごく心地よかった。これはこの作品特有のおもしろいところだと思う。

物語と現実がシンクロして、自分が作品の中に飛び込んじゃってるような、まさに没入感。

 

そんでもうガンガン手拍子煽られる。笑 客席参加型演劇とかっていうんじゃなくて、なぜならあの空間にいる私たちはゲイクラブ「ラ・カージュ・オフォール」の客だから!!これまで舞台観に行ってあんなに手叩いたことない。

笑いながらも、楽しさのあまり涙が出るくらい刺激的で、脳内麻薬ドパドパ溢れ出た。

 

また、カジェルちゃんたちが歌う『ありのままの私たち』という曲がアツいのです。

「♪ありのままに見えて 全部イリュージョン 本当は嘘が本当」「正直に生きていたいから嘘の姿に身をやつし」「美しい偽物がそうよ 私たち」

ショータイムも自分たちもという存在も永遠ではないと自覚したうえで、「偽り」を演じて観客に夢を見せ続けるカジェルちゃんたち、美しくて強い最高の女や…。

カジェルちゃんは美少女戦士です。

Twitterを見てると、みんなそれぞれ自分の推しカジェルを見つけては「あの子どの人?!」ってやってて、女子ドル現場後の風景を彷彿とさせた。笑

 

パワーワードが散りばめられた楽曲のすばらしさ

 これまで楽曲の話をちょいちょい入れてた通り、なんといっても音楽の力がもんのすごい。

どの曲も1回聴いたら覚えちゃうようなメロディ、それでいてメッセージ性の強い歌詞。ここまでも曲の話をたくさんしてきたけど、ラカージュで一番震えたのは一幕のラスト、アルバンのソロ曲『ありのままの私』。

 

誇り高く生きるだけそうよ私は私

ありのままに嘘をつかず生きてきた

自分の太鼓叩いて進む

うるさきゃ逃げて

やめてよお情けやお世辞なんか

自分の世界好きなように生きる

 

一度だけのこの人生

自分のカードは自分の手でまく

 

 訳詞を見ても分かるこの力強い言葉。市村アルバン=ザザが歌うこの曲を聴いたときに血が熱くなった。うまく言えないけど、人が放つエネルギーってすごい。

 私は舞台が好きで、舞台を観ると人の生命力をダイレクトに浴びてる感じがする。舞台に立つ人って、毎日毎公演このエネルギー砲を撃てる人なんだと思う。本当にすごい。「ラカージュ・オ・フォール」で生きる覚悟を決めたカジェルたちにも、人間の持つ輝きとか力強さが詰まっていました。

 

ストーリーにはあまり深く触れませんでしたが、とても愛に溢れた話。生命力を浴びると人って元気になれる。強くなりたいときはラカージュを見よう。

 

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あ〜この作品に出会えてよかった〜〜!!

 

 

*1:通称”わたしたちの坊や”。「愛してるなら僕を信じて」という歯の浮くような台詞&キスをさらっとこなせば、女の子がうっとりして思考力を失うスキル持ち。たぶん父親譲り